ケーブル保護管(無電柱化)

コスト縮減に貢献するECVP

『ECVP』とは。

導入の経緯・特長

ECVP管の採用実績はこちら!
  • 2018年4月、関東地方整備局の電力管性能基準緩和を受け、C.C.BOX管路システム研究会で規格化。(規格番号:CCB E003-1
  • 現在、ほぼすべての地方整備局や、東京都等マニュアルの性能基準に適合します。(2023年1月現在)
  • 北海道・関東・北陸・近畿・四国・沖縄で、採用開始されています。(2023年2月現在)
  • 国交省公募の「無電柱化における管路部等の低コスト化に資する技術」の管路材として選定されました。
特長
耐衝撃性・高温強度に優れた材料
従来の電力管(CCVP・SVP)
一般の硬質ポリ塩化ビニル管
低コスト化した電力管(ECVP)
従来管路(CCVP・SVP)との互換性あり
  • 従来管と同寸法であり、従来管からの切り替えが容易
  • 管路と管路の継手部分など高い汎用性がある
  • CCVP同様新浅層埋設基準に適合
従来材料と新材料の相互接続イメージ

CCVPとの性能の違い

CCVPのようにツルハシによる強烈な衝撃荷重には耐えられませんが、緩和された新性能基準には、十分耐えます。

ツルハシ衝撃試験(従来)
スコップ衝撃試験(新基準)

ECVPは、耐衝撃強度以外は、CCVPとほぼ同等性能

『ECVP』のメリット

安定した施工性

  • ECVPは、硬質塩ビ製で、自在に曲げることはできませんが、曲管を使用することで、確認を必要とせず一定の曲率(5mR等)を確保しての施工が容易です。
  • 管枕により適正な管離隔を容易に確保することができます。管離隔を確保することで、埋戻し土の充填が容易であり、十分な締固めが得られます。
  • CCVPと同寸法仕様としており、異種管継手等必要なく、切り替えができます。
  • 当協会で仕様統一しており、施工箇所毎に管種管理等を必要としません。

ケーブル損傷リスクの軽減

  • 優れた強度を有しており、スコップやバール程度では貫通しません。
  • 埋戻しや、施工後の圧密沈下に対しても、ある程度柔軟に追従しつつもケーブルへ大きな影響を与えるような大きな変形は起こしません。
  • ケーブルの発熱(60℃程度)がある状況でも、十分な埋設強度を有しています。
  • ECVPと同材質である硬質塩ビ管は、下水道等で50年以上の実績があり、また管の材料強度面では100年の長期耐久性に優れています。

容易に曲率確保ができます

写真-1

管路が交差する場合や、断面変更が必要な場合、必ず曲線配管が必要となります。
写真-1のような事例でも、ECVPでは、一定曲率の曲管を管台でサポートして配管することから、確実に導通性を確保しての施工が容易です。
可とう性管では、曲率確保のための補助工が発生するとともに、曲率を確認して施工する必要がありますが、ECVPでは、このような手間が省略できます。

CCVPと互換性があります

すでにCCVPのダクトスリーブが設置されている既設の特殊部でも、ECVPなら同寸法、同仕様であることから、異種継手等必要とせず、接続できます。

CCVPの継手を用いて、ECVP同士の接続ができます。
すべてのCCVP用継手がECVPの配管で使用可能です。
また、当協会(ケーブル保護管製造会員)の製品も仕様統一しており、メーカーの異なる製品も問題なく、使用可能であり、部材調達リスクも心配ありません。

他工事での衝撃等に耐えます

工事作業員が、スコップにより掘削する状況を想定した試験として、電線共同溝マニュアルで規定される耐衝撃性試験(スコップ試験)および、実地に標準的な体格の成人男性による掘削作業での影響を確認。

電線共同溝マニュアルで規定する耐衝撃試験
実掘削作業を再現した試験

管接続用バールを誤って落下させた場合や、地下埋設物の有無を確認するため、バールを地中に軽く打ち込む状況を想定した試験として、23℃の環境で、バール(φ25mm×長さ1350mm:重さ4.89kg)を埋設土表面からの高さ50cmより自由落下させる。

  • ECVPでの損傷状況

  • 参考

    FEPでの損傷状況

高温でも十分な強度を有します

硬質塩化ビニルの温度依存性
20℃→60℃の温度上昇で・・・ ポリエチレンは大きく低下
塩ビは、いずれも約30%弾性率(剛性)が低下
ポリエチレンは、約65%弾性率(剛性)が低下
高温下で使用されることを前提に製品設計しています。

長期強度に優れています

一般的に電線共同溝は、耐用年数「50年」を求められます。塩ビ管は、電線共同溝と同じよう設置条件である下水道等で50年以上の実績がありますが、材料の長期耐久性では以下のとおり、100年の使用にも耐えられる材料です。

合成樹脂材料は、土中埋設のような一定の外力を受け続けると変形が進行し破壊に至るという所謂「クリープ破壊」が問題となります。
従って、ECVP等硬質塩化ビニル管も、クリープ強度により「耐久性」が評価される必要があると考えます。クリープ強度の試験方法は、国際規格ISO/9080〔プラスチック配管及び管路システム-管形状の熱可塑性材料の外挿法による長期水圧強さの測定〕に従って実施して長期破壊する応力を推定し、この応力に対し安全率を加味した許容応力以下となるよう管路設計する必要があると考えます。

塩ビ管の内水圧クリープ破壊試験結果
  • 内圧クリープ試験は、「引張応力」による破壊です。
  • 内圧に短期破壊強度(破壊応力)は、550kg/cm2です。
  • 実験結果より、100年後に破壊する破壊応力は、302kg/cm2です。
  • 100年後に破壊する応力は、初期強度の約54%となります。
  • 埋設荷重での破壊は、「曲げ応力」による破壊となります。
  • 塩ビの曲げ強度は88.2MPaであり、その55%は、47.6MPaです。
  • 47.6MPaの曲げ応力が100年間作用し続ければ破壊します。

塩ビ管の管路設計では、許容曲げ応力を17.7MPa(20℃)としており、長期強度に対して2.7倍の安全率で耐用年数100年が確保されていると言えます。

ECVPは、電力ケーブル保護管のため、60℃での評価が必要となりますが、60℃での曲げ破壊強度は、20℃のときの約50%であることから、100年後の破壊応力も、「302kg/cm2 」の1/2である15MPa程度と想定され、許容応力を「8MPa」として設計しており、約2倍の安全率で耐用年数100年が確保されていると考えられます。